従来、石油、鉄鋼、電力等におけるプロセス制御においては古くからPID調節器を用いたフィールドバック制御が使われてきた。
　PID制御は構造が簡単で安価であるが、PID各係数を最適値に調整することが難しい。PID各係数決定法にはこれまで、ジーグラ・ニコルスの過渡応答法や限界感度法などが用いられてきたが、これらによって計算されたPID各係数を実際のプラントに適用する際には多くの場合勘に頼った微調整が必要とされている。そこで、現在ではPID各係数を対象とするプラントに合わせて自動的に調整決定する”セルフチューニングPIDコントローラー”の開発が望まれている。
　我々はセルフチューニング制御に必要な逐次最小自乗法のパラメータの補正について、数種の新しい方法を提案し、そのシュミレーションを行い良好な結果を得た。そして、高速演算能力をもつDSP(Digital Signal Processer)向きのアルゴリズムを開発し、高速化を実現することができた。