平成2年(1990年)度

DSP指向のセルフチューニングPID制御アルゴリズム

研究者名 上野美光

指導教官 町田秀和

要旨

 従来、温度、圧力、水位、電圧等を出力とするプロセス制御においては、PID調整器を用いたフィードバック制御が使われてきた。PID制御は構造が簡単で安価であるが、PID各係数を最適値に調整することが難しい。PID係数決定法にはこれまで、ジーグラ・ニコルスの過渡応答法などが用いられてきたが、これらによって計算されたPID各係数を実際のプラントに適用する際には、試行錯誤的な調整が必要とされている。そこで、現在ではPID各係数を対象とするプラントに合わせて、自動的に調整決定する「セルフチューニングPIDコントローラ」の開発が望まれている。
 我々はセルフチューニング制御に必要な逐次最小2乗法にU-D分解アルゴリズムを適用し、そのシュミレーションを行い良好な結果を得た。また従来(一自由度)のフィードバック制御では目標値追従性と外乱抑制性を同時に満足することはできなかった。そこで2自由度化することによって両者を同時に満足することができた。さらにPIDゲインの補正法として、パラメータ一定法と呼ぶDSP指向のアルゴリズムを開発し、ゲインの安定化と計算処理の高速化を計り、シュミレーションよりその有効性を確認した。Fig.1に2自由度セルフチューニングPID制御系のブロック線図、Fig.2にシミュレーション結果を示す。