平成3年(1991年)度
4WS実験車両の試作
研究者名 杉田健、佐々木 昇
指導教官 町田 秀和
近年,研究開発が活発なCCV(Control Configured Vehicle)により,従来のシステムでは実現できなかった理想的な運動を、新しい自由度を追加することによって可能としている。
上述のCCVの概念を自動車に応用したものの一つに4輪操舵システム(4WS)がある。新しい操作入力として後輪を操舵することで,操縦性や安定性,乗り心地性を向上させることができると考えられ,すでに実用化されている。
本研究ではまず,システムの性能向上をはかるための”制御を前提とした設計手法”について検討した。そして,この手法を四輪車の操舵システムに応用し、その制御的評価を基に1/10モデルの四輪操舵車両の設計及び試作を行った。これに当たっては、まず4WS車両の制御方式と運動特性について考察し、それを基に制御的あるいは物理的な評価と設計を行った。前輪操舵車の場合には評価の結果、定義した理想出力を得られなかったため、後輪舵角比例およびディレイ制御方式を用いた四輪操舵制御の設計を行い、その制御パラメータの数値を導出した。その結果、理論的には四輪操舵では良好な性能が得られることが確認できた。
試作車両ではコーナリングパワーが絶対的に小さいために、一般車両に較べてシミュレーション結果が芳しくなかったが、4WS車両の制御的優位性を証明することができた。