平成3年(1991年)度

オブジェクト指向言語C++による4WSシミュレータの制作

研究者  西村 英則

指導教官 町田 秀和

緒言

本研究は、4WS制御のシミュレータの制作を行うにあたって、各部分の複雑な相互関係を適切に表現できるオブジェクト指向の考えをとりいれた。
 オブジェクト指向とは、プログラミングの一つの考え方であって、プログラムの構造化を突き進めたプログラミングの手法である。
オブジェクト指向を取入れることによる利点は、
@4WSの作動時は、いろいろな要因が情報交換をしているので、各要因を一つのオブジェクトとしておくと理解しやすい。
A各要因は時事刻刻と値が変化するが、これをシミュレーションで忠実に再現することができる。
といった点があげられる。
 シミュレータの制作にあたって、4WSの動作原理、運動方程式、車両の各部の値などを調べた。 また、各要因がどの様に情報交換をしているか検討した。
これらの事柄をふまえて制作されたシミュレータは、現実におこりうる結果を良好な近似で再現することができ、4WS制御系の開発に役立つと期待できる。

結言

 我々は、様々な事象が複雑に影響し合う4WSシミュレーションのシミュレータを実現するために、オブジェクト指向という概念を用いてこれを構築した。これに当たっては、オブジェクト指向型のプログラミング言語であるC++を使用し、試行錯誤による処理が行える環境を実現した。
 本研究では、物理的な対象をオブジェクトとして捉え、それらの間のメッセージ伝達ネットワークを考えた。  4WS車両の運動の基本的な処理を実現し、さらに速度、横方向速度、ヨーレートやハンドリングの変化といった外的要因による状態の変化を表現する環境を構築した。
 これらの実現においては、ハンドリングパターンや状態データなどをオブジェクトとしてとらえることで、より現実に近い形でシミュレータを記述することができた。
 オブジェクト指向言語C++を使用することによって、複雑な相互関係をもつシミュレータの内部構成をスマートに表すことができた。
 このシミュレータは、4WS車両が実際にどの様に軌道するのかがグラフィックスにより確かめられることで4WS車両の基本設計、あるいは運動を理解する上で大きな助けとなるだろう。