●2重ループPLLモータ速度制御系による電子カム・デモ装置

2009/8/27(木)
By 舞鶴高専 電子制御工学科 町田研究室
町田、神原(2ES)、西本(5S)

 PLLモータ制御は、古くはアナログレコードプレー ヤのストロボクォーツロック(33.3回転)の時代から賞用 されてきました。しかし、加減速を含む場合は、@偏差 が生じ、ロックが外れやすく振動する。A安定するまで に時間がかかる。欠点がありました。新しく特許出願中 の「2重PLLモータ速度制御系」は高速移動体との通 信技術を応用した「スーッと高速に立ち上がり、ピタッ と偏差なく追従する」新生代のPLLモータ制御系です。

 ここでは、2重ループPLLモータ速度制御系の効果が良く分かる 「電子カム」について紹介します。内容は、機械式カムと全く 同じ加減速回転パターンを実現するということですが、これは すなわちもっと柔軟な加減速回転パターンを実現(再現)できる ということで、例えばクランク-スライダ機構を用いれば、 任意のVVT(Variable Valve Timing:可変バルブタイミング)を フライバイワイヤで実現できる見込みがあります。VVTは燃焼効率 すなわち燃費の改善に有効な手段でエコにつながります。

 この他、2重ループPLLモータ速度制御系は加減速を含むモーション 制御に適用できると考えており、超精密な用途に最適です。 例えば、新明和工業の円盤記憶媒体検査装置(エアスピンドルモータ)、 ケーブル巻き取り装置(巻き太り対策)、工作機械の多軸同期制御 (PLLは最高級に属する)などなどが考えられます。
 詳しくは、ぜひ町田 までお問い合わせください。

●電子カム・デモ装置の動作説明


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■従来の(一重)PLLモータ速度制御系による実験

 下の写真をクリックしてください。WMV8形式の動画が再生されます。
従来の(一重)PLLモータ速度制御系による実験の様子です。
最初は「マスタ円盤」と「スレーブ円盤」のピンクのマークが一致していますが、 しだいにずれていってしまいます。加減速に追従できなくて位相スリップして しまったと考えられます。位相スリップしてしまっては、もう位相情報が失われて しまうわけですから、元には戻せません(戻すためには別に積分が必要で、 それはもう「速度制御ではなく位置制御」と言えます)。

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■特許出願中の二重PLLモータ速度制御系による実験

 下の写真をクリックしてください。WMV8形式の動画が再生されます。
特許出願中の二重PLLモータ速度制御系による実験の様子です。
「マスタ円盤」と「スレーブ円盤」のピンクのマークが、いつまでも一致しています。 これは2重PLLが高速に追従するのと、位相偏差が打ち消されているのでスリップが 起こりにくくなっている(起こっていない)からだと考えられます。
 なお、わずかに角度差がありますが、これは初期角度合わせが完全ではないからです。 近い将来に、初期位置センサ(円盤のZ相)を設け、自動初期値合わせができるように 改造したいと考えています。

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