2.1 PD(Phase Detecter)

 位相検出器PD(Phase Detecter)とは、2つの信号の間にどれだけの位相差があるかを検出する回路です。 ここでは、ディジタルのPDを三種類(ExORJK-フリップフロップPFD(Phase Frequency Detecter))紹介します。 ディジタルでは入出力波形はsin波ではなく方形波(1,0)であることに注意してください。 特徴的なのはディジタルですので位相差出力はPWM波形のデューティ比 の形で現れることです。

 ここで、注意していただきたいのは前述したように、PDは入力信号(の立ち上がり)が来るまで 位相を検出できないということです。PLLは本質的にサンプリング制御系なのです。

 それでは下の図に、それぞれのPDの回路図と検出できる位相差の範囲を示します。 詳細な説明に付いてはそのうち更新して追加します。

 
 ExORゲートは0〜180°までの位相差を出力することができます、+180°を超えると 逆に小さくなっていきます。ExORは立ち上がりに依存しません。


 
 JK-フリップフロップは、u1の立上りで'1'、u2'の立上りで'0'を出力しますので、 0〜360°までの位相差を検出することができます。



 
 PFDはJK-フリップフロップの動作に加えて、どちらの立上りが先に入力されたかで 正方向と負方向の2種類の出力を持ち、-360°から+360°までの位相差を検出することができます。
 この場合、u1の周波数の方がu2よりも高ければ正(+)ばかり、u1の周波数の方がu2よりも低いければ負(-) ばかりに出力されますので、周波数の符号も検出できるので、Frequency-Phase-Detecterと呼ばれます。
 なお、後段のP-MOS,N-MOSトランジスタ回路部は「チャージポンプ」と呼ばれるものです。





 それでは、実際に動作を確認してもらうために下のアプレットを試してみてください。(上の回路図がスクロールして 見えなくなってしまうので、できればプリントアウトして両方を見比べながら試してみてください。)
 テキストボックスに位相差(Phase Error)を入力し、OKを押すとそれぞれのPDの出力が表示されます。


 PD出力波形はご覧のようにPWM波形で直流とは言えません。そこで次のLFに通して不要な成分を除去して直流化する必要があります。 次はLFを見ていくことにしましょう。
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